初心者スタッフに自信をつけさせる「販売数稽古」

ショップリサーチコンサルタントの都築志摩です。

 

今でこそ「ショップリサーチコンサルタント」と名乗らせていただいているわたしですが、その昔はイチ販売員からキャリアをスタートさせました。

 

今日は、超販売初心者時代のわたしが、店長の言葉につられた結果、結構な成果をあげることができたエピソードをお伝えします。

 

わたしは、大学卒業後、某ファッション専門店企業に入社することになったものの、卒業間際まで接客販売の経験がありませんでした。(アルバイトは別のことをしていたので。) ところが、一緒に入社する同期の仲間のほとんどは、何らかの接客経験があることを知ったのです。

 

「マズイ! みんなに置いていかれる!」

 

焦ったわたしは、慌ててアルバイト情報誌をめくり、某ファッションビルの冬バーゲンアルバイトに応募しました。

 

アルバイト期間は一週間、連日10:00〜20:00の通し勤務は、未経験のわたしには想像以上に大変でした。

 

当時のファッションビルバーゲンは、まさに戦場。押し寄せるお客さまへの対応と散らかりまくる商品整理のあまりのツラさに、トイレで居眠りしてしまった程でした。

 

写真はイメージです。(写真出典はコチラ   

 

この時のアルバイト経験で、ひとつ忘れられないことがあります。

 

わたしがアルバイトしたお店は、若い女性がターゲットでしたが、バーゲンになってやっと平均商品単価が10,000円を切るくらいの、まあまあのブランドでした。

 

バーゲン3日目、そんなお店の店頭に、店長がワゴンに載せて出してきたのは、3,900円均一商品。明らかに「安い」です。

 

店長は、わたしを呼んで言いました。

 

「このワゴンの商品を全部売ったら、この中の商品なんでも一枚タダであげる。」

 

え、タダ!?

 

何かと物入りの大学卒業前の学生にとっては、「タダ」ほどありがたい言葉はありません。笑

 

それからわたしは、ワゴンの前に陣取って、店の前を歩くお客さまに片っ端から声をかけ始めました。

 

「お値打ちですよ」

「色がきれいですよね」

今着るのにちょうどいいですよ」

 

なんといってアプローチしたのか、当然もう忘れてしまいました(笑)が、とにかく必死。誰彼構わず、声をかけ続けました。

 

よくよく見れば、明らかに「去年の商品」とわかる代物だったので、同世代の女性は見向きもしてくれませんでしたが、時折「お姉さま方」が足を止めて買ってくれました。

 

最終日、山盛りだったワゴンの商品は3分の1程度には減りましたが、「全部売る」は不可能でした。

 

クタクタに疲れて「は〜、終わった」と脱力していたわたしを、なんと店長はスタッフの皆さんとの「打ち上げ」に連れて行ってくれました。(しかも、おごりで!)

 

お店のスタッフは、正社員やレギュラーアルバイトの方ばかりで、短期アルバイトはわたしだけ。(しかも、勤務はもう終わり)普通だったら、仲間になど入れてもらえないところですが、皆さんとても優しくねぎらってくださいました。

 

打ち上げの席で、こんな会話がありました。

 

店長「あのワゴンがあんなに売れるとは思わなかったな〜。よくやったね。びっくりしたよ。来年のバーゲンの時も来てくれないかな。」

 

わたし「えっ??? あの〜。もう就職するので、来れないと思います。」

 

「次も来てね」と言われて嬉しかったのですが、その反面心中複雑。

 

店長は「売れるとは思わなかった」と思っていた商品をわたしに「売れ」と言っていたの??

 

今ならよくわかります。明らかな不振商品の残り物、社員やレギュラースタッフだったら、売るのは面倒ですし、嫌でしょう。だから、何もわからないアルバイトのわたしに、言ってしまえば「押し付けた」ということが。

 

でも、わたしは「就職前の自主研修」のつもりでアルバイトに来ていたのです。一週間で、同期のみんなに追いつけるだけの経験を積まなければ!!と勝手にやる気になっていました。笑 

 

ワゴンの商品が不振品とか、売れるとか売れないとか、そんなこと関係なく「売れと言われたのだから、売らなければ!」と思って、できうる限りの行動をしたわけですね。

 

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「数稽古」という言葉をご存知でしょうか。

 

元の意味は、武術や楽器の習得などで、何回も数をこなして練習し、技術を習得する方法を意味します。つまり「繰り返して練習して身につける」と言った意味になりますね。

 

なんでもそうですが、やり方を学んだだけでは身についたとは言えません。 何度もやってみて、自分の体に覚えこませて初めて「できる」「やれる」と言えるのです。

 

  あの一週間のバーゲンアルバイトで実践した実践した数々の「販売数稽古」は、マイナスからスタートするはずだったわたしの販売員人生を、ゼロからのスタートにしてくれました。

 

今となっては、懐かしい思い出です。

 

PS.店長の皆さん、短期スタッフが勤務終了時にかけてもらえると一番嬉しい言葉は「次も来てね」「またお願いしてもいい?」です。ご参考までに。