新人販売員を辞めさせないために。ほんの少しのお願い。

ショップリサーチコンサルタントの都築志摩です。

 

4月入社の新入社員の皆さんは、そろそろ職場に慣れた頃でしょうか。

 

販売の仕事についた新入社員が、自分の仕事の最大のデメリットを感じてしまうのは、土日に休めないことです。土日休めないことによって、学生時代の友達とどうしても疎遠になってしまうからです。

 

今はSNSがあるので、情報交換だけはマメにできます。学生時代の友達が集合しているのに、仕事で休めない自分はそこに入れない……。淋しい気持ちになってしまいますよね。

 

わたしの新入社員時代は、まだSNSや携帯電話のような便利なものがありませんでした(笑)ので、大学卒業後は仲の良い数人の友達以外とは没交渉になってしまいました。

 

「みんなで集まろう」という機会も「みんなの都合」に合わせると、ほとんどがお盆やお正月や春休みになってしまい、わたしは行くことができませんでした。

 

平成28年の厚生労働省の調査によりますと、就職大学卒業後3年以内の離職率、小売業は37.5%です。全産業平均が31.9%ですので、かなり高いと言えます。大卒者以外を含めると、おそらくもっと高いでしょう。

 

小売業で働く若い人が会社を辞めたいと思う理由のひとつに「仕事が大変」ということの他に、「残業が多い」「休みが不規則」ということがあるのではないでしょうか。

 

そういう業界だと理解して入社したつもりでも、実際に入ってみて初めて見えてくることはあるものです。

 

慣れない仕事は大変、やらされ仕事ばかりでおもしろくない、急な残業や休みの変更ばかり、人員不足で連続出勤が続く、なんて状況が続いていたら、誰だって気が滅入ります。

 

たまには友達と会いたい、話を聞いてもらいたいのに、休みが合わなくてそれもできない、会社の人にはとても言えないから、友達とSNSで会社や上司の悪口を愚痴っている間に、どんどんネガティブになってくる。

 

こんなはずじゃなかった、自分の居場所はここではないのでは……。こんな負のスパイラルが働いてしまっていないでしょうか。

 

新入社員が仕事の面白さ、販売の楽しさに目覚めるのに、どのくらい時間が必要でしょうか? 

 

一通りの仕事を覚えて、自分なりに工夫して、お客さまに喜んでいただける体験を重ねるのには、半年や1年くらいの時間は必要なのではないかと思います。

 

わたしの場合、入社して半年間は何も楽しくありませんでした。

 

職場はベテランの先輩社員ばかり。先輩同士でお客さまを取り合っている(!)姿を見て、「自分もなんとかしなければ」と思うものの、上手くいかないことばかり。仕事は商品整理ばかりでしたので、おたたみは上手になりましたよ。(今でも、商品を見なくても幅を揃えてたためます。笑)

 

学生時代の友達とは全然会えなかったので、楽しみと言えば、近隣の店舗に配属された同期社員と時々会って遊ぶことくらいでした。

 

入社半年が過ぎた頃、店長が異動になり、新しい店長が来ました。なぜか、そのタイミングで先輩社員も次々異動していき、店内マウンティング最下位(笑)だったわたしは、いつのまにか2番目になっていたのです。

 

新しい店長から、アドバイスを受けて接客をやってみたら、なぜか売れるようになり、自分の販売力に少し自信がつきました。そして入社して1年、わたしは店長の辞令を受けたのです。

 

新人店長のわたしのもとに新入社員が3人やってきました。自分の面倒もろくに見られないのに、人の面倒まで見るなんて、もう、毎日が綱渡り状態でした。

 

本当に、販売の仕事が楽しい!と思えるようになったのは、店長になってから半年後くらいだったでしょうか。初めて売上予算を達成できたときです。入社してから1年半が過ぎていました。(それまでに、同期の仲間は何人か辞めていきました。)

 

店長さん、先輩社員の皆さん。お願いがあります。

 

新入社員が「販売の楽しさ」を実感できないまま「辞めたい」という気持ちを起こさせないように、ほんのちょっと心配りをしていただけないでしょうか。

 

ほんの少し「友達と会いたい」「遊びに行きたい」という想いを叶えてほしいだけなのです。職場で溜まったストレスを発散できる機会が欲しいだけなのです。

 

店長さんや先輩社員の方が融通しあって「きちんと休みを取る」という風土を作っていただけないでしょうか。そして、時々で良いので、新入社員にも「友達と休みを合わせて遊びに行く」機会を作ってあげていただけないでしょうか。

 

例えば、お子さんがいらっしゃる社員の方は、できる限り運動会や授業参観に行くようにシフトを調整していただきたいのです。

 

「仕事があるから」と、お子さんの運動会や授業参観をあきらめて出勤している上司や先輩の姿を見て、新入社員はどう思うでしょうか? 決して仕事熱心な素晴らしい人だとは思わないでしょう。

 

「自分はこの会社で働き続けたいと思っていたけれど、この会社にいる限り、子どもと一緒の時間を過ごすことはできないのではないか。」と絶望するだけです。

 

新入社員が「来月の日曜日に、友達の結婚披露宴に招待された」「ゴールデンウイークに同窓会がある」などと言い出せないような風土は作らないでいただきたいのです。(人員不足でどうしても無理という場合はあると思います。そういう状況なのであれば致し方ありません。問題は別のところにありますので。)

 

 

ワークライフバランス、という言葉が生まれて久しいです。

 

仕事を楽しむためには、プライベートの時間の充実も欠かせません。

 

まずは、上司や先輩であるあなたから、「仕事もプライベートも全力で楽しんでいる」背中を見せていただけないでしょうか。