売れるお店づくりへの体質改善、半年間の取り組みの記録

ショップリサーチコンサルタントの都築志摩です。

 

わたしが、ある店舗で実践した半年間の「体質改善」への取り組みをご紹介します。

 

わたしがその店に赴任したのは、オープンしてから約1年半が経った頃のことでした。オープン以来、毎月売上予算未達状態が続いていました。

 

前任の店長は、なんとかお客さまを増やそうと、商品部に依頼して売りやすい低価格品やアウトレット品を仕入れていました。店頭には常にセール品のワゴンが置かれていて、それらの残品が倉庫に大量に眠っていました。

 

着任したわたしは、近隣地域や館の状況を調べました。すると、

 

◯商圏は狭く客数も少ないけれど、商圏内には高級住宅地と言われる地域があり、客筋は決して悪くなく、むしろ非常に良いと言えること。

◯館内に競合店と言われる店舗が少なく、品目によってはお客さまを独占できること。

◯すぐ近くに高層マンションが建設されており、半年後には400世帯の入居が見込めるため、商圏人国が一気に増えること。

 

こんなことがわかりました。

 

今のようにセール品でお客さまを「釣って」いる店では、一時的に売れたとしても続かないし、目の肥えたお客さまに飽きられてしまう。質の良いお客さまに長く支持してもらえる店にしていこう。

 

そう考えたわたしは、「半年後、あのマンションが建つ頃には予算達成できるようにするから」とスタッフに宣言し、様々な手を打ち始めました。

 

 

まずは、品揃えの見直しです。

 

わたしは、商品部にマメに連絡を入れることにしました。

 

「◯◯店が改装する」等の情報をキャッチすると、「改装セール用に安い商品が必要なら、ウチの店の倉庫にあるから!」と、倉庫の残品をセールスしまくりました。

 

半年ほどで倉庫の残品はすっかり出ていきました。店在庫が軽くなったことで、新しい商品を入れやすくなりました。

 

同時に、近隣店舗で客数が多く販売力のあるA店にマメに連絡を入れるようにしました。

 

客数が多く販売力のある店では新しい商品がイチ早く動くものです。A店の商品動向やお客さまの購買傾向等を聞いて展開方法を見直すとともに、セール価格になった(なりそうな)商品は、早めに販売力のある店に引き取ってもらえるように交渉しました。

 

この結果、常に店頭の商品は回転することになり、わたしの店にはいつも新しい商品が揃っている状態を保つことができるようになりました。

 

この行動を続けたことで、思わぬ副産物がありました。

 

販売力のある店には、本部の商品部も期待して大量に商品を投入してくるものですが、得てして「そうは言っても、多すぎる」ということが多々あるそうです。

 

売り切れないほど在庫を抱えるよりは、いらない在庫は減らして他の売れ筋を入れたい、店長ならば誰でもそう思うものです。

 

そんな折、わたしがマメにA店に連絡を入れていたことで、わたしの店の売れ筋や動向にすっかり詳しくなっていたA店の店長は「こういう商品、余ってるんだけど欲しくない?」と、わたしに連絡をくれるようになったのです。

 

お互いWin-WInです!! なんとも、ありがたいことでした。

 

 

このようにして、売場と在庫内容をきれいにしていくと共に、高感度のお客さまに向けて高価格帯の商品をしっかり売る体制づくりをしていきました。

 

新人スタッフに対しては「プロパー商品を売ることができる接客力」をつけてもらうべく、毎月1回、閉店後にみっちりロープレトレーニングを行いました。

 

館の方でも、高層マンションに入居予定のお客さま対象に様々な販促プランを立てていましたので、可能な限り「乗っかる」ことにしました。「このチャンス、逃すわけにはいきません!」と本部と交渉し、独自チラシも作ってもらいました。

 

さて、半年が経ちました。

 

結果は……。

 

月度最終日、ギリギリ達成。

 

スタッフや上司含めて、たくさんの協力者あってのことでしたが、なんとか約束を果たすことができました。(ホッ)

 

そして、その後は、それほど無理することなく予算を達成できるようになりました。(ちなみに、それまで赤字続きだったのですが、利益も確保できるようになりました。)

 

予算達成できるようになった理由はいくつかありますが、一番の理由は「中長期的な計画を立てて、お店の体質改善に取り組んだから」ではないかと思います。

 

実は、お客さまの動向を見ていると、マンションの住民のお客さまが新しいお客さまとして来てくださるようになったということはなかったのです。(マンション入居者対象の販促は、これといって成果はありませんでした。)

 

しかしながら、半年間をかけて取り組んだ品揃えの改善により、「安いものがある」ではなく「いいものがありそうに見える」店頭を作ることができたのです。

 

その結果、それまで店の前を素通りしていたお客さまの足を止めることに成功し、新しいお客さまを掘り起こすことができたのです。

 

一度、来店していただいいて、プロパー商品を気に入ってお買い上げいただいたお客さまは、二度三度来店していただけるようになり、顧客となっていただけるようになりました。

 

また、館内競合が少なかったことを利用し、独自の品揃えを強化したことにより、目的買いのお客さまをつかむこともできました。(この件に関しては、投稿「スキマ狙いの品揃えが売上を安定させる」でご紹介しています。)

 

売れるお店をつくるための手段には、様々な切り口があります。

 

何よりも大切なのは、地域のお客さまに必要と思っていただける商品をきちんと揃えることができているかどうか。これに尽きます。どんなに素晴らしい販売力があっても、需要のない商品を無理やり売ることはできないのですから。

 

店長の仕事は、地域のお客さまに支持され、必要とされるお店をつくることです。

 

地域のお客さまの需要と、あなたのお店の品揃えは合っていますか?

 

「そんなの言っても無理」「どうせ本部は言うこと聞いてくれない」と諦めずに、できる限りの手を打ちましょう。あなたのお店に期待するお客さまの声を、きちんと本部に届けましょう。

 

地域のお客さまに期待されるお店をつくる、店長にしかできない大切な仕事です。